病態機能解析研究部門



部門長 田中 祐吉 Yukichi TANAKA MD. Ph.D

ytanaka@kcmc.jp



任期付研究員 新保裕子 Hiroko SHIMBO

hshimbo@kcmc.jp

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研究領域:

(1) 内分泌代謝研究室
 分子生物学的手法を用いた小児内分泌疾患の病態解明が、当研究室の第一の目標です。慶應義塾大学小児科内分泌研究部と密接に協力し、Sanger法・MLPA法・網羅的遺伝子解析・機能解析などを行い、これまでに新規病因遺伝子の発見等の成果を報告しています。また、先天性甲状腺機能低下症や尿道下裂など、これまで環境要因が大きいと思われていた病態にも遺伝的要因が少なからず関与することを明らかにしています。

 このほかにも経管栄養時の甲状腺機能異常、造血幹細胞移植後の代謝異常、脳腫瘍治療後の脂質代謝異常など慢性疾患を有する小児の内分泌・代謝障害の病態解明にも努力しています。

(2) 病態生化学研究室
 エクソーム解析を中心としたゲノム解析の急速な進歩により、多くの小児疾患は、原因遺伝子が同定されました。しかしながら遺伝子変異から蛋白機能異常、細胞機能障害を経て、疾病が発現するプロセスは、多くの疾患で未だ未解明の分野です。このプロセスを病態研究の観点から移植・再生医療を中心とした治療を目指すのが当部門の目標です。そのためには、病態解析のための方法論と、治療するための方法論をともに確立していく必要があります。実際の臨床からアイデアを得て、基礎医学の最先端と協力し再び臨床に還元するFrom bedside to bench/from bench to bedsideを目標とします。

(3) 移植・再生医療研究室
 横浜市立大学大学院医学研究科・臓器再生医学および横浜市立大学形成外科と連携して、軟骨再生医療に向けた取り組みを行っています。また、口唇口蓋裂の患者さんに対する治療として、本人の血液から血小板が多く含まれる成分(多血小板血漿/フィブリン)を取り出して、顎の骨欠損部に移植することにより骨形成を促進させる取り組みを行っています。抜歯された歯の歯髄からも幹細胞研究を行っています。また、自己末梢血幹細胞や非血縁者間臍帯血の凍結保存を行って移植医療に備えています。

(4) 免疫学研究室
 免疫学研究室は、主に気道粘液・便粘液の細胞成分・上清成分を用いて、喘息や乳児早期のミルク誘発性腸炎など各種アレルギー性疾患の病態研究を行っています。同時に、血清成分の凍結保存、検体を管理し、マイクロプレートリーダーでELISAを行う環境が整備されています。

(5) 分子イメージング・医用生体画像研究室
 画像診断機器を用いて様々の方法により、生体内の動態や代謝・代謝物の検出・計測を行うために、拡散強調像、灌流画像やMR Spectroscopyに代表される分子イメージングの研究と、小児に合わせた画像診断検査法の研究、メーカーと連動しての小児に有益な検査方法の開発の研究などを行っています。いずれの研究も、小児にあわせてできるだけ被曝や薬剤投与などの侵襲を減らし、また、騒音が少なく快適な環境で子どもに優しい検査方法を追求しています。


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