神経変性・代謝性疾患

神経代謝疾患と変性疾患

神経系の細胞(ニューロン、グリア)のうち、特に中枢神経系のニューロンはごく限られた部位を除き再生しません。生まれた時の細胞を一生使い続けなければなりません。ニューロンは比較的サイズの大きな細胞が多く、もっとも巨大なものでは、途中の幅を1mとすると先端は東京から浜松程度の距離があるといわれています。先端はシナプスと呼ばれ、電気的な信号を、化学的な情報に変換するなど様々な情報のやりとりの最前線であり、その離れた場所に多くの成分を届け、回収しなくてはなりません。必要なエネルギーの供給不足(ミトコンドリア脳筋症、クレアチン代謝異常症)、蛋白合成、分解系の異常(アミノ酸代謝異常症、ライソゾーム病、有機酸代謝異常症)など代謝異常とそれによる病態および病理学的変化が判明しているものの他に、神経変性疾患と呼ばれ原因不明で、はっきりした病理学的変化をきたさず徐々に神経細胞の脱落をきたす一群があります。これらの多くは遺伝子異常が原因と考えられ、私たちは画像検査・生理学的検査(脳波、筋電図、末梢神経伝導速度、誘発電位)・血液検査・骨髄検査・髄液検査・尿検査・皮膚、筋生検などを通じてできる限りその病態に近づくよう努力致します。またこれらの疾患は将来的にはiPS細胞(Fig.1)を用いた診断、治療の対象になると考えられるので、共同研究を通じてそのための準備を行っています。

Fig.1  iPS細胞
医療基盤研究所より貸与を受けて当院にて継代したiPS細胞(A ; 40倍、B ; 100倍)。フィーダーとしてMEFを使用している。